チューリヒ

今日はチューリヒにいる。週末を過ごしたシチリアは焼け付くような日光と茶色く干からびた大地が印象的で、日焼け止めをきちんと塗っていなかった背中などにはまだ傷みが残るが、スイス最大の金融都市は陰鬱に曇っており、長袖にジャケットを羽織ってちょうどよい気温である。アルプスが地中海の温暖な空気をすっかり遮ってしまっているのだろう。

昼、同僚のルーマニア人とメキシコ料理を食べる。興味深いことに彼はハンガリー国境にある街の出身で、母語ハンガリー語だという。日本文化にも興味が強く、ハンガリー語との文法的相似や、江戸時代の文化について話している。わたしが東京は好かないというと、なぜだ、わたしはあの混沌、超近代的なミッドタウンのちょうど後ろに、桜並木の植わった檜町公園がぽっと現れるようなあの混沌にどうにも惹きつけられる、という。なるほどそういう見方もあるか、とちょっと感心する。