山の見える町

東京から出たことはブログで既に書いた。日本人には日記のほうが向いている、ということを以前言った人がいるけれど、それは割とあたっていると思う。ああやって題をつけると、りっぱなことを言わなければならないような気がしてくるのだ。こうやって、あまり意味のないようなことをつらつらと書いている方が、少なくともわたしには合っている。日本人の代表のような顔をするつもりはないけれど。

東京を離れるとき、同居人に渡した本がある。村上春樹が欧州滞在時に書いた一連のエッセイをまとめた、「遠い太鼓」である。これはわたしがまだ倫敦にいた頃、よく読んでいて、英国を離れる際にも誰かに贈ったのだった。でもなんだか、とろりとしたイカの舌触りの話が頭から抜けなくて、東京に来た時にまた買い直してしまったのだ。

二匹のハチがぶんぶん飛ぶ話を読むことも、これでしばらくない、と思っていたら、こちらに引っ越してきてすぐ、紀伊國屋で見つけてしまった。なんというか、縁が深いのだろうか。

遠い太鼓 (講談社文庫)

遠い太鼓 (講談社文庫)