倫敦にも秋が来た

、のであらうか。

気付けばわたしは帝都から帝都へと移動していた。季節は過ぎ去り白い冬が近づく。ひとすじの風がビルの間に立つわたしを取り囲んで、むきだしの耳をびゅうびゅうとならした。わたしはひとり息を吐いたがそれは白くなることもなくただのため息として星の見えない夜空へたちのぼつていつた。

噫、とわたしはまたさけぶ、噫。

生きるということはなんであったのだろう。わたしにはもはや何もわからぬ。ただ昨日食った南インドのあさりカレーは何ともいえない風味をいまでもわたしの味蕾に残している。すなわち生とはあさりカレーなりや。