「残弾数、ゼロ」

なんかどうもよくないと思っていたら、今はもう夏なのであった。

私は夏が嫌いだ。秋になって冬が来る頃にはそんなことはすっかり忘れているが、私は夏が嫌いなのだ。熱帯夜の夜どうしても眠れずにふと起きると家の外ではアヤカシたちが踊り狂い、短い命をこれでもかと謳歌している、そんな夏が嫌いなのだ。益々色づく緑、どこからか湧き出る虫、虫、虫、世界の裂け目から肌を露出する乙女、全てに充溢する生、ああ、全てが私をうんざりさせる。

夏よ去れ、早く、早く、冬よ来い、全てを凍てつかせるような冬よ、早く来て、私の情動を止めてくれ。