燈臺下暗し

大槻ケンヂはかつてサーチライトになりたいと歌ったが、わたしはできることなら灯台になりたいと思う。

サーチライトは月の光と共にタイト・ロープを照らす。それが光るのには確固たる理由がある。あなたの行く先を照らしたい。その道はわたしはいっしょに行けないかも知れないが、あなたは、あなたなら、行けるだろう。サーチライトは確かに夜空を明るく照らし出しもするが、まず、照らしたいものがあるから、光を発するのだ。「行け」、それがオーケンの光が発しているメッセージである。

けれどもわたしにはあなたの行く道を照らし出すことはできない。あなたが「良い所へ行ける」のかも、わたしがこれからどうなるのかも分からない。だからわたしは灯台になりたいと思う。あなたがいてもいなくとも、さしあたってわたしは、一定程度の光を出そう。あなたの船が今どこを取っているのか分からないし、それが発する弱い光はあなたには届かないかも知れないが、「わたしはここにいる、」「あなたはひとりではない、」そう言えたら。